2021年10月1日
久しぶりの自転車キャンプ。目的地は、奈良県生駒市のくろんど池キャンプ場。予約が不要、しかも本日は金曜日なのでキャンプ場がいっぱいになることはないだろうと踏んで決めた。
〈清滝峠で生駒山地を越える〉
自宅、大阪府堺市からキャンプ場へは、奈良県との府県境を越えないといけない。四條畷市の清滝峠にしよう。
まずは四條畷市まで北上。これは今里筋や国道170号などを使って適当に。国道163号の中野ランプあたりが清滝峠攻めのスタートとなる。
中野ランプ北交差点から少し東に走ったところ。高架の北側をしばらく走るとすぐ突き当たりになるが、そこで右折し、あとは道なりに。長い登り坂。いつものことだがしんどい!
清滝峠到着。土地の名前は逢阪というらしい。やがて長い下り坂となるが「ゴルフクラブ四条畷」の看板が見えたら要注意。奈良に入るには、このゴルフ場入口を過ぎてすぐのあたりで左折しないといけないのだ。
直進してしまうと、進入禁止⛔と大阪へUターンさせる道路標識が出てくる。この標識を見た時点でもう行き過ぎているので、引き返そう。なぜ知ってるか? もちろん行き過ぎたから(笑) 自転車ならまだ小回りがきくから引き返せるが、車だったら取り返しがつかないだろうな。
〈くろんど池までの長い道のり〉
麓に下りると、国道163号と合流し東進。あとは県道7号を左折して北上すれば道なりに進むだけで、くろんど池に到着する。のだが、スーパーで買い出ししないといけない。ナビで調べて、近商ストア白庭台店に寄る。そして、このあと悲劇が。
店を出て、さあくろんど池まで最後のひと踏ん張りだ。が、道を間違う。ナビを信じきったのがいけなかった。ナビは県道7号ではなく、なぜか一本西側の国道168号を案内する。何も疑問に思わずこれを北上してしまったのだ。長い登り坂に、真っ暗で怖い天野川河川トンネルをくぐり、そして坂を下り…あれ?おかしいなと。さらに、とんでもないエピソードがあるのだが恥ずかし過ぎてここには記さない。この時ほどナビを呪ったことはない。都合10km程のロスだが、激坂を何度も登り下りすると精魂尽き果てる。
泣く泣く引き返し、正しい道(県道7号)の最後の登りを亀のように登り、ようやくくろんど池に到着。えーと何しに来たんだっけ? 意識が飛びかけていた。
〈くろんど池でソロキャン〉
そうだキャンプしに来たんだ。自宅からの走行距離58km。よく走った。
くろんど池キャンプ場は、何となく寂れたイメージを持っていたのだが、とても整備されていて良いところであった。
くろんど荘で受付し料金を払う。なお料金体系は以下の通り。
自転車のソロキャンは、環境管理協力金とテント小で、1,400円。
テントを張って良いところが何ヵ所かあるようだが、疲労しきって物色する余裕がない。くろんど荘のおばちゃんに案内されるままに広場サイトに決める。
金曜日だから人が少ない。場所も選びたい放題。
管理人のおじさんによると、土曜日はもうとんでもなく混雑するそうだ。時期が良いからかもしれないが、皆様ご注意を。
設営完了。周辺を歩いて薪を拾う。これで夕方16時くらい。道に迷わずに来れていたら、ひとっ走りして温泉でも入りにいくのに(たぶん最寄りの温泉でも往復20kmくらいあったはず)。時間的にも体力的にも断念。
ご飯を炊き、炭を起こして焼き肉を食す。あとは焚き火。プロコフィエフのピアノ協奏曲を聴きながら、まったりお一人様を楽しむ。気候も良く、薄い長袖の羽織があれば寒くない。至福のひとときであった。
22時就寝。体感では20℃をちょっと下回ってるか。安物インフレーターマットと夏用のダウンシュラフだけではちと寒い。長袖羽織と、足の爪先に靴下をちょい被せて安眠できた。
施設のことを書いておく。トイレは綺麗。便器は洋式。トイレの手洗い場は飲用不可と書いてあるが、食器の洗い場の水はとくに注意書きもないので大丈夫であろう。飲み水があるのと、炭捨て場があるのは、自転車キャンパーにはとてもありがたい。
池でも遊べる。白鳥のボート。子どもの頃こういうのに乗ったなあ。奥にクジラ型もある。
ある程度人慣れしているのかな。カメラを向けたら、キリッとした(ような)。
参考:くろんど荘HP(キャンプは予約不要。現地に付いたらここで受付)
〈撤収。そして死亡遊戯の誘い〉
翌朝、6時起床。9時撤収。自転車キャンパーは荷物が小ぶりだからかもしれないが、管理人のおじさんに次の人が来るまでゆっくりしていいよ、と声をかけられる。親切な声かけにジーンと来る。が、自転車キャンパーは帰り道もお楽しみの一つなのだ。さてどこに寄り道してやろうか。
とりあえず県道7号を南下。富雄川沿いの田舎道は気持ちが良い。が、徐々に車が増えてくる。近鉄富雄駅まで下るともう車だらけでストレスがたまる。西に進路を変える。帝塚山大学前の道(県道702号)をプチヒルクライムして、国道168号に出てさらに南下。これは竜田川沿いの道だ。
小休止。笹の葉が美しい。さて、まもなく平群町だ。この辺から大阪に帰るルートを模索する。
寄り道候補としては、ヒルクライムで有名な十三峠にするか、一度行ってみたかった信貴山朝護孫子寺にするか。どちらにしろ激坂必至。キャンプ道具満載でまさに死亡遊戯だ(笑) が、アドレナリンが行き渡っている。こういう時に挑戦しないと、二度と行かないかもしれない。見所が多いと期待して朝護孫子寺にする。いざ信貴山登山だ!
信貴山は、近鉄勢野北口あたりから西へ、県道236号を登るのみ。登り初めは住宅街だが、激坂が延々と続く。上を向いてはいけない。その果てしなさに絶望するから。
そして住宅街を抜けたところで体力の限界に。もう止めようかと魔が差しかけたがゴールの朝護孫子寺まであと2km。自転車を押して歩く。ゴールが近づくと勾配が落ち着く。再び自転車にまたがり、割とすんなりとゴール。朝護孫子寺の駐車場に。
駐車場前にある西方守護神白虎。いきなりの異形の像に少し元気が回復。
自転車はどこに停めれば良いのだろう? 駐車場のおじさんに声をかけると、奥の第二駐車場の隅っこの好きなところに停めていいよ、自転車は無料でいいよ、と案内される(車は有料)。ありがとう。感謝いたします。
お寺の入口。神仏習合の名残で鳥居がある。
有名な張り子の虎だ! すわ電動? 首がグルグル動いている。
神木 榧(かや)の木。言い伝えでは約1400年前、聖徳太子が仏教普及に反対する物部守屋を討伐するためにこの地を訪れ、寅年・寅日・寅の刻に戦勝祈願したそうだ。そして毘沙門天から加護をいただき、見事勝利したと。太子はここに伽藍を建て、信じ貴ぶべき山ということで「信貴山」と名付けたそうな。この榧の木は、このエピソードをつぶさに眺めてきた生き証人だという。
隣には、武闘派・聖徳太子とでも称したくなる、勇ましい太子像がある。
馬に乗って、髪をなびかせ、矢を背負った若々しい姿は、昔のお札に載ってるオッサン顔とは別人のようだ(失礼)。後で知ったが、彫刻家 北村西望氏の作品だそう(長崎市の原爆の中心地にある平和祈念神像が有名)。
朝護孫子寺は真言宗のお寺のようだが、難しい教義のことは知らない。無学を利用して言いたい放題言わしてもらえば、信貴山の斜面に高低差をつけて建つ建造物は、全体で一つの城郭都市のようである。広い平地というものはなく、様々な伽藍がひしめき合い、細い路地がこれらを繋いでいる。迷路のように入り組んだ通路をさまよい歩くのは、平地の寺院巡りよりも断然面白い。密教に特有のミステリアスな景観、耳に入ってくる真言の呪文(適当です)。日本一大地蔵といったビックリ建造物もある。
とにかく見どころ満載で、これは観光スポットとして十分通用する、私のような素人客を満足させるパワーを持ったお寺である。
お寺を出てすぐ、開運橋も景観スポットの一つ。バンジージャンプが楽しめるようだ 。
参考:信貴山 朝護孫子寺HP
満足して帰路につく。
葡萄坂を下って大阪に入ろうかと思ったが、柏原市の知る人ぞ知る坂の町、雁多尾畑(かりんどおばた)の急坂を下ることにする。この傾斜の恐ろしさ! 下りでもヒシヒシと感じられる。実際に計測すると違うかも知れないが、葡萄坂など比べものにならないくらい急勾配ではないか? 初めて自転車キャンプをしたときに、何も知らずにこの雁多尾畑の坂を登ろうとし、あえなくノックアウトされたことを思い出す。あの有名な暗(くらがり)峠と比べるとどうなんだろう? 登り切れるとは到底思えないが一度行ってみたいななどと考えながら、坂を下り終われば大和川にぶつかる。あとは川沿いを西に向かってこぐのみ。
キャンプに登山、途中道にも迷った。ハードな2日間であった。が、疲れはそれほどでもない。かなり鍛えられてきたのだろうか。それとも気候のおかげか。今回の走行距離、往路58km、復路53km。
小トラブルとしてはサングラスを紛失。まあaliexpressで50円くらい(笑)の品なので痛くはない。愛着が少し湧いていたが。
大トラブルとしてはリアキャリアが損壊した。帰路、どうも頼りない感じがしていたが、ネジが緩んでいるのかなくらいに思っていた。家に着いて調べると、荷物を支える2本の支柱がポッキリ折れていた。
ショックだが、荷物が崩れ落ちなかったのだから、よく頑張ってくれたと思う。約1年間の付き合いであった。お疲れ様と言いたい。