tatsumitatsu

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日本最古の戎宮!? 〜石津神社と石津太神社

2021年11月22日

風邪引いて調子が悪い。しかし生きているうちに好きなことをすると誓ったのでポタリングに出発。近場の石津エリアにする。


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まずは石津神社。境内に万国旗がはためいていてグローバルなんだが(笑)まあいい。

 

そもそも石津という地名は、堺市民にとっては割となじみ深い地名である。石津川が流れているし、与謝野晶子が歌に詠んでいる。たいそう歴史のある地名であることが何となく伺える。その土地の名を冠する石津神社。

 

入口の看板には「日本最古の戎宮」と書かれている。よく分からないが何かすごそうだ。また境内に入ってすぐの所に「日本笑姿初石津大社」という碑がある。

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ちなみに碑の後ろの大楠は樹齢1000年。

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笑姿初? 何だろう? 日本のお笑いの元祖か何かだろうか? いきなり謎解きゲームの始まりである。

 

主祭神八重事代主神大己貴神大国主神)、天穂日神であるが、注目すべきは八重事代主神である。大国主神の子であることは承知しているが、スマホで調べると、戎(えびす)様と同一の存在なのだそうだ。

さらに調べる。

そもそも戎様とは何者なのだろう? 七福神の一柱であるが、それは置いておく。戎様は釣り竿と鯛を備えた、おデブな、もとい、たくましいお姿に、ふくよかなスマイルを携えた、いわゆるえべっさんである。真面目にいうと、大漁を象徴する海神。海から来たる者。なお、記紀には載っていない。平安時代の書物に初出なのだそうだ。ともかく大昔から漁業の神として庶民の人気者である。

そんな大人気の神様だから、記紀の神様との照合が試みられる。事代主神は建御雷神から国譲りを迫られたとき、釣りをしていた。この姿が戎様と同じだということで、戎神=事代主神という説ができたそうである。江戸時代のことだそうだ。なんだ、そんな理屈でいいのか? 微笑ましい話だ。

 

と思ったら、戎神の候補にもう一つ有力な存在が。それは蛭子命(ひるこのみこと)だ。イザナキとイザナミの間に生まれた最初の神だが、不具であったために海へ流されてしまった不憫な神様だ。しかし海を漂った末にどこかに漂着すれば、すなわち信仰の対象としてスポットが当たれば、戎神と同じく「海から来たる者」であり同一化されることは大いに考えられる。室町時代の頃にこうした結びつきがあり、各地で蛭子命の漂着伝説が生まれることになったそうである。蛭子を「えびす」と読むのも、こうしたつながりを示す一例であろう。

 

そして、石津神社の社伝によると「石津の地名は、戎神がこの地に降臨した際、五色の神石を携えてきたことに始まる」。つまり、蛭子命がこの辺りの津に漂着し、神石を置いたので「石津」だと。さらに言えば、蛭子命が最初にたどり着いたのが、ここ石津の地であったと。ゆえに石津神社は「日本最古の戎宮」なのだ。

 

ところで石津神社には、肝心の蛭子命が祀られていない。と思ったら、石津神社から1kmも離れていない石津太神社(いわつたじんじゃ)で主祭神となっている。この二社はもとは一つの神社であったそうだが、時代を経て分離し今に至るそうである。双方ともに「日本最古の戎宮」を称している。自転車ならあっという間の距離だ。さっそく石津太神社に行ってみた。

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すぐに到着。主祭神は、蛭子命のほか、八重事代主命天穂日命、建御名方富命(事代主命の兄弟)。先の石津神社同様、国譲りのエピソードに登場する出雲系の神様の揃い踏みだ。

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拝殿。良い。

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戎様と、戎様が腰掛けたといわれる石。

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なぜか稲荷神社がある。

 

先の石津神社で書き忘れたことがある。石津神社の境内には、相殿として宿禰神社(野見宿禰)、天満宮菅原道真)がある。

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天穂日命の子孫たちだ。天穂日命はアマテラスにつながる天神系だが、大国主神の側についた。やはり石津の二社は出雲びいきだ。

 

最後の謎。石津神社で見た「日本笑姿初石津大社」の碑について。答えはどこにもなかった。だから自分で答えを出す。

なんの事はない。「笑姿」とはすなわち「えびす」。石津神社こそが、ふくよかな笑顔のえべっさんをお祀りした最初の神社だと、この碑は高らかに語っているのだ。