ファンタジー小説といえば、指輪物語、果てしない物語などよく読んだが、こうした名作より以前に、私にとって忘れがたい本がある。と言いつつ長く忘れていて(笑)ふと思い出した。書き留めておく。

スティーブ・ジャクソンのソーサリー4部作。ゲームブックである。ゲームブックを説明するのは面倒なので省略する。
4部作それぞれのタイトルは「魔法使いの丘」「城塞都市カーレ」「七匹の大蛇」「王たちの冠」という。あらすじも省略する。
小中学時代にファミコンが登場し、ドラクエなどのRPGに大いにハマったのたが、読書もそれなりにしていた。そうした中でゲームブックというものに出会った。ほとんどが子供だましのくだらない物だったが、この作品だけは違っていた。
今でも目を閉じて、この本の挿絵を脳裏に浮かべるだけで頭がくらくらする。そう、この作品の良さは、ストーリーもさることながら、それを視覚化する挿絵が良いのだ。
エルヴィン
さいごのキスはくちびるに
ラブーリ ラブーリミガメ わが神にあらず
遥かなるマンパン砦
眠れぬラムを眠らすために…
神々の頭を持つヒドラ
※以上、画像はすべて前述の4作品(東京創元社)より。
異形の者たちがはびこる狂気に満ちた世界。その世界の住人として参加できるゲームブックというスタイルが、普通の文学作品では成し得ない没入感を生み出す。これはある意味文学を超えている。今さら改めてプレイしようとは思わないが、する必要もない。目を閉じればすぐにこのファンタジーに脳内トリップできるのだから。